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産業用カメラのレンズに関する基礎知識~ユーザーの立場での備忘録~

f:id:r-w:20170117225451j:plain*はじめに
製品の品質検査を自動化するとき、最近では画像処理システムを利用してこれを行う事が多いと思う。画像処理ステムでは産業用カメラを使用するけれど、カメラを利用するユーザーの立場でみると、カメラの選定方法って難しく感じてしまう。そこで、ここでは画像処理ステムのうち、特にレンズに関する基礎知識を備忘録として整理する。
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産業用カメラのレンズに関する基礎知識

その1) 撮像素子(CCD、CMOS)とイメージサークルについて

「撮像素子」とは、カメラのイメージセンサーの事でCCDやCMOSの事。
また、「イメージサークル」とは、レンズが鮮明にピントを合わせられる円形の領域の事。つまり、レンズを通った光が撮像素子に集まるとき、撮像素子全体がレンズのイメージサークル内にあれば、撮像素子全体に鮮明な像が結ばれる。

実際のカメラのカタログには、撮像素子のサイズが、4/3型、1型、2/3型、1/2型等と記載されている。撮像素子は長方形で、例えば、2/3型なら水平方向8.8mm、垂直方向6.6mmとなる。

この撮像素子全体がレンズのイメージサークル内に入るためには、イメージサークルの大きさは撮像素子の対角線長より大きければ良い。つまり、2/3型の撮像素子であれば対角線長は11mmなので、イメージサークルはΦ11以上であれば良い。
なお、レンズのカタログには、対応する撮像素子サイズが記載されている場合もあり、その場合はこれに従えば良い。

その2) 画素ピッチと解像力について

画素ピッチは、カメラの撮像素子のサイズを解像度で割ると求められる。例えば、2/3型の撮像素子であれば水平方向8.8mm、垂直方向6.6mmなので、仮にこの解像度が500万画素であれば、下記式より画素ピッチ3.4μmと求める事が可能。

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解像力は、レンズのカタログに~μm、または~本/mm(~lp/mm)と示されている。この解像力と上記計算より求めた画素ピッチを比較し、レンズの解像力が撮像素子の画素ピッチより小さければ、カメラに対するレンズの解像力は十分となる。
なお、レンズの解像力がX(本/mmまたはlp/mm)とカタログに記載されている場合は、1÷X(本/mmまたはlp/mm)÷2とする事で、mmに換算できる。

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その3) CCTVレンズとテレセントリックレンズとバリフォーカルレンズの違い

詳細な説明は他に譲るが、CCTVレンズはレンズ直径より大きな被写体を映す時に使用するレンズの事。
テレセントリックレンズはレンズ直径以下の被写体を映す時に使用するレンズの事。
CCTVレンズは画像端が若干歪むのに対して、テレセントリックレンズは画像全体を歪なく撮像する事ができる。しかしCCTVレンズであっても歪みは少なく、案件に応じて個別に検討は必要だが、精密な寸法計測でなければ問題はないと思う。

バリフォーカルレンズは焦点距離を連続的に変更できるレンズ。一つのレンズで大きく映したり、小さく広角に映したりする事が可能。ズームレンズは、焦点距離を変えてもピントはずれないが、バリフォーカルレンズは焦点距離を変える度にマニュアルでピント合わせが必要。なお、一般の一眼レフカメラは、カメラにオートフォーカス機能が付いているので、ズームレンズと呼ばれていてもバリフォーカルレンズの事を指している。

その4) 焦点距離

焦点距離は小文字の「f」で表される。数字が小さいほど広角レンズで広く、小さく撮る事ができる。被写体を大きく映したいけれどカメラを近くに設置できない場合は焦点距離が大きいレンズを、反対に被写体を広く映したいのにカメラを遠くに設置できない場合は焦点距離が小さいレンズを選択する。

その5) 視野の計算方法

レンズのカタログに「画角」の記載があれば下記式で視野を算出可能。撮像素子は長方形なので、画角は水平方向と垂直方向の記載がある。

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カタログに画角の記載がない場合は、レンズの焦点距離とカメラの撮像素子、撮像距離から算出する。算出方法は下記に示す比の式より算出可能。

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その6) 絞りF値について

レンズのカタログにあるF値という項目は「絞り」を表す。数値が小さいほど開放側でより多くの光を取込める明るいレンズという事。絞るという事は光の取込み量を変える事で、絞る程に画像は暗くなるが、被写界深度(ピントの合う前後方向の距離)を深くする事ができる。暗くなった分は照明を明るくするか、カメラ側で露光時間を延ばすか、感度を上げるかで調整する。

F値は連続的に変更でき、「一段絞る」というと、例えばF1.4からF2にする、F2からF2.8にする事で、√2倍ずつ値を変更する事。一段絞ると取込める光の量は半分になる。ちなみに、一段絞った場合は、例えば露光時間を2倍にすれば同じ明るさの画像を得る事が可能。

絞りの構造は「アイリス絞り」というものがほとんどで、アイリス絞りの説明は他に譲ります。

その7) 被写界深度の計算

被写界深度は、ピントが合っている前後方向の範囲の事で、レンズの焦点距離や絞り、撮像距離を変える事で被写界深度を深くしたり浅くしたりする事ができる。被写界深度は下記式により算出可能。

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その8) 最至近距離とワーキングディスタンス(WD)

最至近距離とワーキングディスタンスはほぼ同じ意味。どれだけ被写体に寄れるかを示している。最至近距離がレンズ先端から被写体までの距離に対し、ワーキングディスタンスは撮像素子から被写体までの距離を示す。

その9) マウント

マウントとはレンズとカメラの取り付け部の事で、マシンビジョン用カメラのマウントはCマウントが多い。カメラとレンズのマウントが異なると取り付けられない。ただし、マウント変換アダプターを使用すれば取付け可能。

さいごに

ユーザーの立場だと画像処理システムを理解する事は難しい。難しいけれど全く知らないというのも良くない。僕自身もこれから少しずつ知識を深めていきたいと思う。